コラム[cf.]
中古資産の耐用年数【会計】
新品ではなく、中古の資産を購入した場合の減価償却費を計算する際の【耐用年数】について確認したいと思います。例えば、新車ではなく、中古車を購入した場合をイメージすると分かり易いと思いますが、取扱いとしては、法人が取得した場合でも、個人が取得した場合でも、同様の判断をします。
まず、減価償却費を計算するための要素である耐用年数(=費用化の年数)は、別表第1や別表第2などの耐用年数表で確認することができます。種類、構造又は用途、細目に分かれていて、例えば、木造事務所用建物で24年とか、普通車で6年などの耐用年数となっています。
この耐用年数は、新品で取得した場合を前提とした年数ですが、中古の資産を取得した場合には、当該資産を事業の用に供した時以後の使用可能期間(=見積法)か、その見積もりが困難な場合は、次の区分に応じた年数によることが【できる】特例があります。
【次の区分に応じた年数(=簡便法)】
①法定耐用年数の全部を経過した資産・・・法定耐用年数×20%
(10年経過の普通車であれば、2年(6年×20%=1.2年<2年)となります)
②法定耐用年数の一部を経過した資産・・・(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
(10年経過の木造事務所用建物であれば、16年(24年-10年+10年×20%)となります)
なお、中古資産に対して資本的支出があったときには、見積法または簡便法は採用できず、法定耐用年数による場合があります。
この点、実務では、見積法ではなく【簡便法】を採用して【中古資産の耐用年数】を算定することが多いのですが、何れにしてもこの特例は、法人が、その事業の用に供した【最初の事業年度において選択した場合に限り】適用できるものであって、当然、個人でも同様の取扱いとなるため、個人の事業の用に供した【最初の年において選択】しなければ、適用できません。
注意すべき点として、簡便法による耐用年数を【選択しますという意思表示】が必要であり、その後において、その意思表示を訂正することはできないということですが、特に、簡便法を選択せずに法定耐用年数で償却を開始した後において、簡便法に訂正することは出来ません。あくまでも、選択は任意のため、簡便法を選択するという意思表示をしないのであれば、原則の法定耐用年数で算定されるということになります。
ところで、この意思表示について、法人は、減価償却がそもそも任意償却ですが、個人の場合は強制償却であり、事業の用に供した年分の確定申告書を提出すること自体が意思表示をしたことになるため、気づかなかったとか、選択した覚えがないなどということには出来ません。
確かに、個人であれば、必要経費を追求するあまり、
[事業専用割合]を何%にしようかと拘ってしまう意思表示もありますが、
中古資産の耐用年数の選択による[早期の費用化]も検討すべきでしょう。
なお、細かい点ですが、償却資産(固定資産税)の申告にも影響はありますし、そろそろ確定申告を意識する時期と思われます。それぞれの税金の場面において、勘違いのないように【きちんとした意思表示】をお願いします・・・。
<参考>減価償却資産の耐用年数等に関する省令第1条、第3条、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-5-1、平成27年4月14日裁決(東裁(所)平26-95)